婚姻していない男女の間に生まれた「非嫡出子」の遺産相続分を嫡出子の半分と定めた民法の規定の合憲性が争われた審判で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は9月30日付の決定で「法の下の平等を定めた憲法14条に違反しない」と判断し、非嫡出子側の特別抗告を棄却した。
決定は4裁判官中3人の多数意見で、判例を踏襲した。今井功裁判官は「子の出生に責任があるのは被相続人で、非嫡出子には何の責任もない。規定は違憲」と反対意見を述べた。合憲とした竹内行夫裁判官も「相続時は合憲だが、社会情勢は変化し、現時点では違憲の疑いが極めて強い」と補足意見を述べた。
非嫡出子の相続差別を巡っては、95年の最高裁大法廷決定が初の合憲判断を示したが、15人中5人が「違憲」とした。03~04年の計3件の小法廷判決は、いずれも裁判官5人の意見が3対2で合憲となる小差の判断が続き、最高裁の新たな判断が注目されていた。
法制審議会は96年に相続差別の解消を盛り込んだ民法改正案を答申したが、一部議員に反対が強く法案の国会提出は見送られている。非嫡出子の出生割合は00年の1.63%から06年は2.11%に増加し、海外も相続の平等が大勢。竹内裁判官は国会に改正を強く求め、今井裁判官は「立法を待つことは許されない時期に至っている」とまで指摘した。千葉景子法相は改正法案の早期提出に意欲を示している。
審判では、00年に死亡した沖縄県の父親の相続について、非嫡出子側が平等な遺産分割を求め、嫡出子側は民法規定通りの配分を求めた。那覇家裁名護支部と福岡高裁那覇支部はともに嫡出子側の主張を認めた。
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